法人化(法人成り)9つのメリット【節税になるかシミュレーションが必要】

 

 税理士の鈴木泰浩です。

 個人事業主の方で法人化すべきかお悩みの方もいると思います。

 法人化(法人成り)のメリットはどのようなものがあるでしょうか?

 法人化(法人成り)の主なメリットとして以下の9点があげられます。

法人化のメリット1 事業主給与

 個人事業主の場合、所得が全て個人事業主のもので、個人事業主自身の給与は必要経費として認められません。

 一方、法人成りした場合、役員報酬が損金となり所得金額が少なくなります。

 さらに、役員報酬は給与所得となるため、役員の所得税の計算において給与所得控除額が控除されるため節税となります。

法人化のメリット2 所得分散

 所得税は累進課税制度を採用しています。

 一人で多くの所得を得るよりは、所得を分散させた方が所得税の税金総額は低くなります。

 法人の場合、事業主と家族従業員に給与を支給することにより所得を分散させることが可能になります。

 なお、個人事業主の場合、生計を一にする家族に対しては特例として、青色専従者給与として給与を必要経費にすることができますが、一定の要件を満たす必要があります。

法人化のメリット3 退職金

 個人事業主の場合、個人事業主本人に対する退職金は損金として計上することができません。

 個人事業主の場合、「事業主の退職」は「個人事業の廃止」となり、事業活動が終了することを意味しており、退職金の支払いは事業所得の収入を得るために必要な経費とはなりません。

 一方、法人の場合、退職 金は費用として計上することができます。

 また、退職金は給与所得とは異なる計算方法が認められます。

(退職金-退職金控除額)×1/2=退職所得

 となりますが、退職所得控除という金額を引いた上に、残額を1/2にすることができるため、給与所得よりも所得が小さくなります。

 なお、役員に対する給料、賞与、退職金については、定期同額給与、事前確定届出給与、不相当に高額な給与などの取り扱いがあるため注意が必要です。

法人化のメリット4 社宅費用

 個人事業主の場合、自分が住んでいる住居(賃借住宅)を事業に全く利用していない場合は、賃借料を必要経費とすることはできません。

 一方、法人であれば賃借住宅を借り上げて社宅として、その賃借料を必要経費とすることができます。この場合には、事業主(経営者)は家賃の一部を支払う必要があります。

法人化のメリット5 消費税

 個人事業主から法人成りした場合、個人事業主として消費税の課税業者であったとしても資本金が1千万円未満の会社の場合、消費税は最大で2年間免除されることになります。

 ただし、上半期の売上が1千万円を超え、かつ給与の総額が1千万円を超える会社については、翌事業年度から消費税の課税事業者になります。通常は翌々事業年度から課税事業者になるところが、1年前倒しになるため注意が必要です。

法人化のメリット6 欠損金の繰越控除

 個人事業主の場合、青色欠損金の繰越は3年までに限定されますが、法人の場合欠損金の繰越期間は10年までと長期に渡っています。

 個人事業主の場合、赤字が多額に発生した場合、その後3年間で欠損金と同額だけの利益を計上しないと欠損金を控除することはできませんが、法人であれば9年間と繰越期間が長期に渡ります。

法人化のメリット7 相続・事業承継

 仮に個人事業主が死亡して相続が発生した場合、個人事業主の名義になっている資産は遺産分割の対象となります。

 そのため、個人事業主名義の銀行口座は凍結され使用することができなくなります。

 そのような状況になった場合には、事業活動に大きな支障をきたすことになります。

 仮に法人化していた場合、預金口座をはじめ、事業用資産は会社名義になります。

 個人の資産ではなく会社の資産となることで、事業活動では相続の影響を受けなくなります。

 また、事業用資産は会社の株式に集約されることから、その株式を相続することで円滑な事業承継につなげることが可能になります。

法人化のメリット8 事業年度の変更

 個人事業主の場合、会計期間は例外なく暦年の1月1日から12月31日になります。

 また確定申告の提出期限も、原則として翌年の3月15日に統一されています。

 一方、法人の場合は事業年度を自由に設定(変更)することができます。

 これにより、繁忙期を避けて決算期を設定することも可能です。

 また、多額の利益が見込まれる場合に、多額の利益が生じる前に決算期を変更することも考えられます。

 翌期以降に納税を繰り延べるということも、一つの方策として考えられます。

法人化のメリット9 対外的な信用

 法人化することで対外的な印象が違ってきます。

 取引先によっては、法人であることが取引を行う上での条件であることもあります。

 また、入札条件や免許の取得においても法人化が要件の一つとなることがあります。

節税になるか、タイミングはいつか シミュレーションが必要

 法人化によって、実際に負担が減るのか(手元にキャッシュが残るのか)をシミュレーションする必要があります。

 シミュレーションに際しては、法人税、所得税、消費税といった税金面だけではなく、社会保険料の負担についても考慮に入れることが重要です。

 また、どのタイミングで法人化するのがベストなのかも検討する必要があります。

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 今回は、法人化(法人成り)に関する9つのメリットについてお伝えしました。

 また、実際の法人化(法人成り)については、シミュレーションが必要です。

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