J-SOX(財務報告に係る内部統制)の文書化・見直し支援【IPO・上場企業・子会社の効率化】

 公認会計士の鈴木泰浩です。

 大手監査法人でJ-SOXの監査に関わり、独立してからは上場企業及び上場準備企業のJ-SOXの文書化を中心にコンサルティングを行っております。

 J-SOX(財務報告に関する内部統制)でこのようなお悩みはありませんでしょうか。

・IPOを目指す上でJ-SOXの文書化が必要だがどこから手を付ければよいか分からない

・子会社がJ-SOXの対象となったが文書化するリソースがない

・J-SOX対応で工数が多いので効率化を図りたいがどこから見直せばよいか分からない

 今回は、J-SOXの文書化・見直しについて、効果的かつ効率的に対応するための視点をお伝えいたします。

上場企業はJ-SOXの対象

 そもそも、J-SOXが必要となる企業はどのような企業なのでしょうか。

 上場企業は、企業の財務報告に関する内部統制が有効に機能しているかどうかを経営者が評価し、「内部統制報告書」にて報告します。

 「内部統制報告書」は、会計監査人(監査法人、公認会計士)の監査を受ける必要があります。

 すなわち、上場企業はJ-SOXの対象となります。

IPO(株式公開)を目指す企業も上場前に準備が必要

 上場準備企業も上場後に「内部統制報告書」の提出が必要になるため、J-SOXの準備が必要になります。

 上場後3年間は「内部統制報告書」に対して、会計監査人による会計監査が免除されています。(資本金100億円以上又は負債が1,000億円以上の企業は免除されません。)

 会計監査は免除されますが、「内部統制報告書」の発行が免除される訳ではありません。

 この点、J-SOXについては、先延ばししてもよいと誤解される企業が多いため注意が必要です。

J-SOXの文書化の内容 3点セットなど

 J-SOXにおいて、経営者評価として文書化が求められるのは以下のものがあげられます。

 「評価範囲の検討シート」

 「内部統制基本計画書」

 「全社統制のチェックリスト」

 「全社的な決算財務報告に係るチェックリスト」

 「業務プロセスに係る3点セット(業務記述書、RCM、フローチャート)」

 上記のうち、文書化として工数が掛かるのは、業務プロセスに係る3点セット(業務記述書、RCM、フローチャート)です。

 3点セットを効果的かつ効率的な文書化できるかが、文書化や見直しにおいても最大のポイントになります。

J-SOXの文書化・効率化・見直しのポイント

 J-SOXの文書化及び効率化・見直しとしては、以下の3つの観点が重要です。

ビジネスの正しい理解 リスクがどこにあるのか

 細かなリスクを認識して、それに対応するコントロールを個々に設けると、業務の実態に合わない内部統制になってしまいます。

 また、いたずらに形式だけの押印・サインばかりが増えて、現場の負担増につながる恐れもあります。

 IPOを目指す企業であれば、ブレーキの掛け過ぎが成長速度を阻害するのであれば、何のための上場なのかという議論になりかねません。

 本質的なリスクがどこにあり、キーコントロールで複合的にリスクを潰すように内部統制を設計することが内部統制の効率化のポイントになります。

財務報告に係る内部統制基準・実施基準の正しい理解

 内部統制関係の基準等としては以下があげられます。

 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」

 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」

 「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」

 「内部統制報告制度に関するQ&A」

 その他、IT統制に関する監査基準も別途存在します。

 上記に従い、J-SOXの文書化を進めていく必要があります。

 逆に言うと、基準から外れていたことを実施していると、監査法人から指摘を受けて二度手間の作業となりかねません。

 また、上記の文書には効率化のヒントも記載されていますので、正確に理解することでJ-SOXの効率化につなげることができます。

監査法人とのコミュニケーション

 J-SOXでは最終的に、経営者が評価した結果を会計監査人(監査法人)がチェックことになります。

 新に文書化進める上で、どの事業拠点(子会社)を評価範囲にするか、評価対象とする業務プロセスをどうするか、適切にコミュニケーションを取る必要があります。

 また、J-SOXを見直す上でも、会社の独断で評価範囲を見直した場合、抜本的にコントロールを削減した場合、監査法人から「やり直し」の指導が入る恐れがあります。

 見直しに際しては、上述の基準に基づいたロジックを組み立てた上で、監査法人とディスカッションを行うことが重要です。

 会社側で方向性(筋道)を立てていれば、監査法人から効率化のヒントをもらえる可能性もあります。

コンサルの利用、アウトソーシング(外注化)のポイント

 社内にリソースがない場合、公認会計士やコンサルティング会社にアウトソーシングするのが選択肢となります。

 特にIPO準備企業では、J-SOXの文書化をゼロから行う必要がありますので、J-SOXの文書化の経験がないと作成が難しいかもしれません。

 文書化に際しては、上場スケジュールに沿って作成期限までに、監査法人(証券会社)の要求水準に合うものを作成する必要があります。

 アウトソーシングする上でも、アウトソーシング先がどの業務まで対応するか事前に確認する必要があります。

 文書化のアドバイスだけを行うだけで、文書化は会社がメインで行う場合や、監査法人対応は行わないというコンサルティング会社もあります。

 自社のニーズに合うアウトソーシング先を選ぶことが重要です。

大手監査法人出身の公認会計士が文書化を支援

 オリナス・パートナーズでは、大手監査法人出身の公認会計士が直接文書化を行います。(実際に手を動かして文書化を行っております。)

 上場企業、IPO準備企業のJ-SOXの文書化支援の実績が多数あり、会計監査人としてもJ-SOXの監査を行っておりました。

  最近では、会計士協会のIPO支援に関わる独立開業の会計士名簿に掲載されております。

https://jicpa.or.jp/business/ipokansa/indivisual/002.html

 また、上場企業の社外監査役の経験より、会社のガバナンスに真に役立つことを意識してJ-SOXのコンサルティングを行っております。

 J-SOXの文書化・見直し・効率化でお悩みの企業様は、下記のお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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