収益認識の変動対価

 公認会計士の鈴木泰浩です。

 収益認識基準では、全部で5つのステップのうち、ステップ3で取引価格を算定する必要があります。取引価格の算定に影響があるものとして、変動対価、契約における重要な金融要素、現金以外の対価、顧客に支払われる対価がありますが、今回は「変更対価」について取り上げます。

変動対価とは

 変動対価とは、顧客と約束した対価のうち変動する可能性の部分をいいます。

変動対価に該当するもの

 変動対価の取引例としては、対価の額が変動するものとして

・値引き

・リベート

・返金

・インセンティブ

・業績に基づく割増金

・ペナルティ

等があげられます。返品権付きの販売も該当します。

 また、変動対価は契約条件に示される場合以外でも、以下のいずれかの場合が該当します。

・企業の取引慣行や公表した方針等に基づき、契約の価格よりも価格が引き下げられるとの顧客を有している

・顧客との契約締結時に、価格を引き下げるという企業の意図が存在している

(収益認識適用指針第24項)

変動対価の見積方法

 変動対価の見積方法としては、以下の2つの方法からより適切に予測できる方法を選択することになります。

(1)最頻値…発生し得ると考えられる対価の額における最も可能性の高い単一の金額

(2)期待値…発生し得ると考えられる対価の額を確率で加重平均した金額

変動対価における制限

 変動対価の見積額は、無条件に計上が認められるわけではなく、収益が減額される確率及び減額の程度を考慮する必要があります。

 収益が減額される確率又は減額の程度を増大させる要因として以下の例があげられます。

(1)市場の変動性又は第三者の判断若しくは行動等、対価の額が企業の影響力の及ばない要因の影響を非常に受けやすいこと

(2)対価の額に関する不確実性が長期間にわたり解消しないと見込まれること

(3)類似した種類の契約についての企業の経験が限定的であるか、又は当該経験から予測することが困難であること

(4)類似の状況における同様の契約において、幅広く価格を引き下げる慣行又は支払条件を変更する慣行があること

(5)発生し得ると考えられる対価の額が多く存在し、かつ、その考えられる金額の幅が広いこと

(収益認識適用指針第25項)

まとめ

 今回は収益認識の変動対価について解説を行いました。弊事務所では、収益認識基準の適用に際して、上場会社の関連会社やIPOを目指す会社向けのコンサルティングを行います。

 収益認識基準の適用は、会計だけでなくシステム、業績評価、内部統制、予算・経営計画に影響が及ぶ可能性があります。

 対策の必要性は認識していても、社内のリソースやコストの観点でプロジェクトがなかなか進まずお悩みの企業様向けに、大手監査法人出身で豊富なコンサルティング経験がある公認会計士が対応します。

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