クラウド会計 マネーフォワードの上場②

 

 横浜関内の会計・税理士事務所オリナス・パートナーズでは、クラウド会計(freee、MFクラウド)の導入支援を行っております。

 2017年9月29日に家計簿アプリとクラウド会計「MFクラウド」を手掛けるマネーフォワードが東京マザーズに上場しました。株式市場に上場するということは、財務諸表が対外的に公表されることを意味します。開示されたマネーフォワードの開示情報から、個人的に気になった点についてコメントしたいと思います。

創業以来一度も黒字化していない

(千円)

決算年月 平成24年11月 平成25年11月 平成26年11月 平成27年11月 平成28年11月
売上 3,550 76,133 441,700 1,542,178
当期純損失(△) △8,121 △107,169 △549,683 △1,142,110 △888,972

(新規上場のための有価証券報告書1の部より)

 「黒字化していなくて上場できるの?」という疑問が出てくるかもしれませんが、黒字化していないことが一概に悪いことと言えるものではありません。将来の黒字が見込める・大きな利益を見込めればよいわけです。市場からの資金調達を通して事業を拡大していくことが重要なわけです。

 黒字化していない有望なベンチャー企業が上場するのは珍しい話ではなく、事例としては少し古いですが、流通業界で飛ぶ鳥を落とす勢いのAmazonがあげられます。Amazonは、創業してから9年経ってから通年で最終損益が黒字化しています。(1994年創立、1997年上場、2003年最終黒字化)

クラウド会計「MFクラウド」の収益状況

セグメント情報

 会計事務所を運営しているものとしては、クラウド会計「MFクラウド」の収益状況が気になりました。マネーフォワードは、家計簿アプリとMFクラウドの2本柱で事業を進めています。事業ごとの収益状況は、セグメント情報で把握できますので、セグメント情報を見てみました。セグメント情報をみると、ショッキングな表記が、

 「当社グループはプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。」

 要するに、家計簿アプリもMFクラウドも同一のサービスですということです。これではMFクラウドの収益状況は分かりませんので、開示している他の情報を見てみました。

その他の開示資料

 

MFクラウドサービス売上高推移

(百万円)

  2016/11期1Q 2016/11期2Q 2016/11期3Q 2016/11期4Q 2017/11期1Q 2016/11期2Q
売上高 105 167 220 242 271 355

(2017年9月29日成長可能性に関する説明資料より)

 確実に売上は増加しています。MFクラウドのユーザー数は47万突破とHPにありますので、直近の1ユーザーあたりの売上をざっくりと分析してみると、

・1か月あたり売上

355百万円÷3か月≒118百万円/月

・1ユーザーあたりの1か月あたり売上

約118百万円÷47万ユーザー≒251円/ユーザー

 

 1ユーザーあたりの月次売上が250円強になっています。MFクラウド会計の料金プランは、ライトプランで月額1,980円、ベーシックプランで2,980円です。現状の数値から考えられるのは、MFクラウドに無料登録してみたが有料プランに移行していないユーザーが一定数いるということです。(料金プランでフリープランがあります。)

成長可能性

 登録ユーザー数は今後も順調に増えていくと予想されますので、有料プラン(アクティブユーザー)に移行していくことが経営における課題になるのではないでしょうか。逆に言うと、1ユーザー当たりの売上を高める余地(成長可能性)が高いとも言えます。

 

 以上が、マネーフォワードの開示情報で個人的に気になった点でした。

 

 クラウド会計ソフトの導入に際しては、freeeの認定アドバイザー、MFクラウド公認メンバーである、横浜関内の会計税理士事務所オリナス・パートナーズにご相談ください。

 お問い合わせはこちら